うり×ポリ日記(仮)

うりくらげの新しいブログ

小説版「ポケダン“ブロッサム”」14話

昨日はフェザーと遊戯王の同人イベント行ってきました~

…まあそれだけです((

 

 

コメ返

>アクリロ

そうかいそうかい…フッフッフ…((

 

 

 

 

 

 

 

本編

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずジュカさん…僕は、あなたの母親のことを知っています」
唐突な言葉。その意味を飲み込めず、その場は一瞬沈黙に包まれた。
「…え?」
「僕は…あなたの母親、ローリエさんがリーダーを務める探検隊『ホワイトスノウ』に所属していたんです」
「お母さんのこと知ってるの!?本当に!!?お母さんは生きてる!?ねえ教えて!!!」
「っ…!」
自分にすがってくるジュカを見てピヤは迷ったが、真実を言う決心を固めた。
「ジュカさん…あなたもわかっているはずでしょう?ローリエさんは…亡くなりましたよ。僕の目の前で…」
それを聞いたジュカの目からは、だんだんと希望の光が消えていった。
「そっ…か……。そうだよね。やっぱりね…」
ジュカはその場にへたり込んだ。今にも泣きそうな顔だったが、しばらくの間の後目をごしごしとこすって立ち上がり、ピヤを見上げて笑った。
「なんてね。ほんとはわかってたよ。だから平気!」
そんなジュカの様子を心配に思ったピヤは聞いた。
「…そう…ですか?」
「うん。だから話してよ、何があったのか」
「…わかりました…」
ピヤはジュカに言われるままに話した。

 

 

 


僕は元々バーバラス大陸の出身で、アレクエス大陸には何の縁もありませんでした。しかしある時、ここルチール王国の出身で、ネイチャーギルドに入門していたローリエさんに出会ったのです。
彼女はとても美しい方で…恥ずかしながら、一目で惹かれてしまい「ホワイトスノウ」への入隊を希望しました。しかし、入隊はできましたが彼女に想いを寄せる者は他にもいて…その者達共々あっさりフラれてしまいました。まあ当然のことなんですがね。
無駄話はその辺にして…。その後、王国に徴兵されるところからお話ししましょう。
ジュカさんもご存じであろう、5年前まで続いた第一次真理戦争――人間とポケモンの関係が分裂し、衝突したあの時…ローリエさんは徴兵され、戦地へ赴くこととなりました。その時、僕を含め他のメンバーも同行しました。本来なら兵役の義務があるのは王国の国籍を持つローリエさんとそのパートナーのマロンさんだけでしたが、どうしても気がかりなことがあったのです。


それは…ローリエさんが出産したてであるということでした。そう、あなたのことですよジュカさん。


ある日何の知らせも無しに、卵を抱えた彼女が現れたのです。驚きました。何しろローリエさんに付き合っているポケがいること自体、誰も知らなかったのですから。
他のメンバーも仰天して、相手のことなど色々尋ねていたのですが、結局ローリエさんは最後まで真相を明かしませんでした。なので…あなたの父親についてはローリエさん亡き今、誰も知らないのです。その素性、名前はおろか種族さえも…
それで僕達はローリエさんを放っておけず、共に戦地へ向かったわけです。王国の方も人手不足でしたから、そんな僕等を容易に受け入れました。激しい攻防の繰り広げられる戦場で、僕等はローリエさんを守るため必死に戦いました……が………


…結局、その努力も報われませんでした。ローリエさんは…敵の砲撃にあい、命を落としたのです。


僕の力が及ばなかったばかりに…あなたを孤独にしてしまった。かつて愛した方を守れなかった…!
全て僕が悪いのです。だからジュカさん…、ローリエさんへのせめてもの償いに、あなたにローリエさんと同じ運命をたどらせるわけにはいかないのです。探検隊になれば、他の一般国民より優先的に徴兵されることとなります。今は人間との関係も小康状態にありますが、いつまた抗争が起きるかわかりません。
ですからどうか…探検隊になるのだけはお考え下さい…

 

 

 

 

 

 


「…ピヤさんがジュカを止めたい気持ちはわかったよ…」
ジュカが静かに切り出した。
「一つ聞きたいんだけど…ピヤさん以外のチームのポケモン達はどこに行ったの?」
「…戦争が終わった後、散々になってしまいました。皆ローリエさんの死に相当なショックを受けていて…探検活動などとてもできない上、新たなリーダーに相応しいと思える者もいなかったので…チームはそのまま、解散することに…。他の者がその後どうなったのかは存じませんが、僕はローリエさんの子がどうしても気がかりで、度々影ながら見守らせていただいてました。そしたら今日偶然、ジュカさんが『探検隊をやりたい』と言うのを聞いて…」
ジュカはそれを黙って聞いていたが、やがて口を開いた。
「わかった…決めたよ」
そしてピヤの目を見る。
「ジュカ、探検隊やる」
その場のポケモン達は驚く。
「ほ、本気で言ってるんですか!?」
「せっかくお母さんが作り上げたチームなのに…離ればなれなんて、そんなの悲しいよ。ジュカ、チームの皆を探しに行く!」
「しかし、先程も言ったように探検隊というのは…」
「怖いの?」
それを聞いたピヤの顔が強ばる。
「また誰かに死なれるのが怖いの?探検に行きたくない?ジュカ、仲間が皆いなくなっちゃう方が怖いし、寂しいよ。ピヤさんは寂しくないの?」
何も答えられないピヤ。そこにジュカが続けて言う。
「お母さんやサラさん達が見たものを、ジュカも見てみたいの。それにお母さんの仲間にも会って、話したい。ジュカはね、お母さんのことをもっと知りたいんだ」
そして、最後に一言。
「だからジュカ、探検隊になりたい」
ピヤはうつむき、険しい顔をしていた。手も微かに震え、しばらく沈黙していたが、やがて顔を上げてジュカの目を見た。

 

――ああ、いつかの彼女と同じ…真っ直ぐな目だ――

 

ピヤはその目に、かつてのローリエの面影を見た。それに……

「…わかりました。ジュカさんがそれを望むのなら、素直に受け入れましょう。しかし…」
また何か言われるのではとジュカが構える。
「あなた1人だけ行かせるのは心配です。僕も探検に同行させていただけませんか?」
「…え?」
ピヤの口から出たのは思いがけない言葉だった。ジュカはぽかんとした表情をしていたが、しばらくしてふっと笑った。
「なーんだ、そんなことか。いいよ」
「あ…ありがとうございます!」
こうしてチーム「ホワイトスノウ」は、再結成に向けて動き出した…

 

 

 

 

 


「その後、僕が『波乗り』でジュカさんをこの大陸までお連れしたのですが、何やら騒ぎが聞こえて来まして。そこに駆けつけてからのことは、先ほど彼女が話した通りです。…話したいことは以上です」
「…そうか、よくわかった」
ムードが話をまとめる。
「つまりこういうことだな。ジュカとピヤはチーム『ホワイトスノウ』を再結成しに来た。イスキエルカ達はギルドに応援を頼みに来たが、途中で敵に襲われた。そこに偶然ピヤ達が通りかかり、どうにかギルドまで逃げてきた…」
「はい、その通りです」
「ではチーム結成の手続きは後ほどやるとして、問題は剣の方だな」
イスキエルカはムードの言葉に答えた。
「剣は引き続きあたいらが守ります。ギルドの方々には敵の正体を突き止め、悪事を阻止してほしいんです」
「…敵の正体?」
ムードは疑問を口にした。
「それはどういうことだ?敵はチーム『サングレ』と『魔導師』と名乗る正体不明のポケモンだと聞いたが…その魔導師のことか?」
「いえ…確かに魔導師のこともありますが、あたいは他にも敵がいると思ってるんです」
「!?他にも…?」
「はい。まず、あたいは炎タイプの剣、ティア達はドラゴンタイプの剣を守っているわけだけど、襲ってきた奴らとはタイプが一致しない。剣はタイプ一致のものじゃないと使いこなせませんから。次に、アレクエス大陸でも最近剣を狙った事件が起きた。短期間に偶然複数の事件が遠い場所で起きたなんて考えられないでしょう?そして…これは単にあたいの勘なんだけど、何か大きなものの影を感じるっていうか…とにかく嫌な予感がして…」
イスキエルカの話を静かに聞くムード。話が終わるとムードはイスキエルカに言った。
「…なるほど。わかった、協力しよう。こちらとしても犯人を野放しにしておくわけにはいかないしな。…ということで」
ムードは立ち上がり、イスキエルカを担ぎ上げた。
「わわっ!?」
「要件は済んだだろう?敵が追って来る気配も無いし、さっさと病院に行け。と言ってもその怪我じゃ自力で行くのは大変そうだし、俺が連れて行ってやるよ。もちろんティアとティオもな」
「ちょっ、降ろ…」
「じゃあサラ、あとのことは帰ってから話し合うとしよう」
「え…」
そのままムードは部屋を出ていってしまった。そのしばらく後には、ギルドから遠ざかる羽音が聞こえた。
「…えと…僕達はどうすれば…?」
レムが遠慮がちに口を開く。それに答えたのはプリムだった。
「じゃ、じゃあ…簡単にやれることでもやってもらおうかな…」
「…やれることって…?」
これと言ってやれることも無いまま、一行は沈黙の時を過ごしていた。

 

 

 

 

その頃…

 

「ふうん…それで取り逃がしたと…」
『はい、申し訳ございません…』
暗闇で水晶玉に向かって話すポケモン。その表面には魔導師の姿が映っていた。
「これで剣を奪いにくくなっちゃったわね…。まあ次の新月までに目当ての剣のいずれかが手に入れば許してあげられるけど」
『そのことに関してですが、先ほど新たな剣の気配を感知いたしました』
「? それは本当なの?」
『はい。何の剣かはまだわかりませんが、獄炎の剣や竜牙の剣とは別の気配をギルドの方から感じます』
「そう…まあ期待はしてないけどそっちの調査もお願いね。次に失敗したら取り返しがつかないわよ」
『承知しております、カミラ様…』
水晶から魔導師の姿が消え、辺りには闇だけが残された…

 

 

 

第1章「始動編」

第2章へ続く…